2021年11月16日に、世界各国で語学教育事業を展開するEFエデュケーション・ファーストは、英語能力ベンチマーク「EF EPI英語能力指数2021年版」を発表しました。レポートによると、日本人の英語力は非英語圏の112の国と地域の中で78位に位置しており、前年の55位から順位を下げ、調査開始から初めて、全参加国・地域の下位3分の1のグループに位置する結果となりました。世界全体の平均に対して見ても日本は平均を下回っており、英語力のカテゴリーとしてはベトナムやインドネシア、スリランカ等と同じ、5段階で下から2番目の「低い」に位置すると報告されました。
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日本人の英語力は世界で92位?EF EPI英語能力指数2024年版発表
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日本人の英語力は世界で87位?EF EPI英語能力指数2023年版発表
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日本人の英語力は世界で80位?EF EPI英語能力指数2022年版発表
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日本人の英語力は世界で55位?EF EPI英語能力指数2020年版発表
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日本人の英語力は世界で53位?EF EPI英語能力指数2019年版発表
EF EPI英語能力指数とは
“EF EPI”とは” EF English Proficiency Index”の略で、EF EPI英語能力指数2020年版は2020年にEF英語標準テスト(EF SET)またはEF社の英語実力テストを受けた200万人の受験者のテストデータを基に算出された独自のスコアです。EF EPIは非英語圏の国と地域における英語能力を経年的に計測・追跡するための世界規模のベンチマークとして、2011年より毎年発表されています。
日本の順位は112の国と地域中78位
EF EPI英語能力指数2021年版によると、日本は今回調査対象となっている112の国と地域の中で78位に位置しており、英語能力の5段階のカテゴリー(非常に高い、高い、標準的、低い、非常に低い)の中では「低い」に位置すると報告されました。
ランキングを上位から見てみると、1位:オランダ、2位:オーストリア、3位:デンマークとヨーロッパ各国が続く中、4位:シンガポールと東南アジアの国が登場します。以降、5位:ノルウェー、6位:ベルギー、7位:ポルトガル、8位:スウェーデン、9位:フィンランドとヨーロッパ各国が続く形です。アジア各国を見てみると、既出の4位:シンガポールを筆頭に、18位:フィリピン、28位:マレーシア、32位:香港、37位:韓国、49位:中国と、日本よりも上位に位置している国がある一方、80位:インドネシア、93位:ミャンマー、100位:タイと、日本よりも下位に位置している国もあります。(アジアの24の国と地域中、日本は13位)
日本の順位を時系列でみると、以下の通りとなっており、年々順位は下がっている傾向にあります。(()内は英語能力のカテゴリー)
2011:14位/44(標準的)
2012:22位/54(標準的)
2013:26位/60(標準的)
2014:26位/63(標準的)
2015:30位/70(標準的)
2016:35位/72(低い)
2017:37位/80(低い)
2018:49位/88(低い)
2019:53位/100(低い)
2020:55位/100(低い)
2021:78位/112(低い)
調査・データの信頼性
2011年から発表されているEF EPIですが、この調査や順位には信頼性や妥当性がないという評価もあります。
過去のレポートに対する記事にはなりますが、「日本の英語力は53位」というデマ報道が流れ出す季節になりましたね。によると、問題点は概ね以下の3点に要約されると主張されています。
1.代表性はない
2.数値が乱高下している
3.営利目的
詳しい内容は上記リンク先の記事をお読みいただければと思いますが、確かにこの調査が全世界において日本人の英語力がどうかということを精緻な調査に基づいてレポートされているものではないと言えるでしょう。特に大きなポイントとしては、上でも説明した通りこのスコアや順位が「EF英語標準テスト(EF SET)またはEF社の英語実力テストを2020年に受けた200万人の受験者のテストデータを基に算出された」ものであるという点で、あくまで自発的にEF社のテストを受けた人のデータをもとにしているというところで、「日本人全体」を調査対象としているわけではないところです。それは日本のみならず他の国においても同様で、EF社のテストを受験する人は少なくとも英語や英語学習に興味がある人で、かつ同テストを受験することができる環境下にいる人だけが調査の対象となっているというところから、サンプルに偏りがあることは事実でしょう。
EF社もこの点は認識・理解しており、以下の通り説明がなされています。
The test-taking population represented in this Index is self-selected and not guaranteed to be representative. Only those who want to learn English or are curious about their English skills will participate in one of these tests. This could skew scores lower or higher than those of the general population.
In parts of the world where Internet usage is low, we would expect the impact of an online format to be strong. This sampling bias would tend to pull scores upward by excluding poorer and less educated people
一方、以下のような記述もあり、留学等を志向するような人が受験する他の英語試験のスコアとの関連性は高いようです。
WF EPI 2021 scores have been found to correlate strongly with TOEFL iBT 2019 scores (r=0.81) and IELTS Academic Test 2019 scores (r=0.73). These correlations show that, while these tests have different designs and test taker profiles, they reveal similar trends in national English proficiency.
EF EPIレポートに参加するには
EF EPIは「EF英語標準テスト(EF SET)またはEF社の英語実力テストを受けた200万人の受験者のテストデータを基に算出された」スコアですので、EF SETを受験することで来年のレポートのスコアの基準となる形で参加することができます。受験は無料ですので、「自分が受験することで日本の順位を上げてやる!」という方から、「まずは自分の英語力を試してみたい」という方まで、気軽に登録して受験してみてはいかがでしょうか。
おまけ
過去EF EPIは毎年インターネット上で公開され、誰でも自由に閲覧することができました。しかし、EF EPIの日本語版のダウンロードには、氏名や連絡先等の登録が必要となりました。もちろん個人情報を登録したとしてもそれが悪用されるようなことは考えるづらいですが、英語版のレポートはこれまでと変わらず登録不要でダウンロード可能ですので、もし日本語版の入手に個人情報を入力することに抵抗がある方がいらっしゃれば、英語版のダウンロードをおすすめします。
EF EPI 日本語版 https://www.efjapan.co.jp/epi/
EF EPI 英語版 https://www.ef.com/wwen/epi/