大阪メトロの英語サイトで、「堺筋線」を”Sakai muscle line”、「御堂筋線」を”Midosuji muscle line”、「3両目」を”Eyes 3″、「天下茶屋」を”World teahouse”など、多数の誤訳が発見され外国語サイトが一時閉鎖される事態となったことが話題になりました。(写真は谷町線です・・・)
海外で「おかしな日本語を見かけた!」という話題もよくありますが、気をつけないと日本国内においてもおかしな外国語表記をしてしまうことになることを改めて認識する必要がありそうですし、また特に多くの人に参照されるような公式の文書等については、公開前にNative Checkを受けることが必要でしょう。
誤訳の原因は自動翻訳ソフト
今回このような誤訳が発生した原因は、Microsoftの自動翻訳ソフトを使ったことによるものとのことです。AIを活用した自動翻訳については、一昔前よりも格段に精度が上がっています。英語のみならず世界中の諸言語を自動翻訳を通じて日本語に翻訳すると、一部日本語としてはおかしい部分はあるものの概ね意味を理解することができるようになりました。
しかし、地名や駅名、路線名等の固有名詞についてはなかなか自動翻訳に正しく翻訳させるのは依然として難しい領域のようです。もちろん自動翻訳システムに「これは固有名詞」と個別に教え込ませておけばそれを固有名詞と認識し正しく理解することができるでしょうが、無数にある固有名詞を教え込ませることは容易ではありません。また、同じ固有名詞でも文脈によって異なることがあります。例えば「渋谷」といった場合、多くの人は地名あるいは駅名の渋谷を思い浮かべるかもしれませんが、場合によっては人名(名字)の「渋谷さん」を指すこともあるでしょう。
川の名前は英語でどう表記するか
固有名詞を翻訳(多言語表記)する上で議論となることの一つとして「川の名前」があります。例えば「多摩川」という川がありますが、これを英訳した場合に”Tama River”なのか”Tamagawa River”なのか、あるいは”Tamagawa”なのか、といった点です。「川」である多摩川を英語にする場合は”Tama River”あるいは”Tamagawa River”が適切だと感じる方が多いのではないでしょうか。(「地名・駅名」である多摩川を英語にする場合には”Tamagawa”が適切でしょう)
ではこれが「大川」という川だったらどうでしょう。上記の多摩川の事例に従って言えば”O River”あるいは”Okawa River”となるでしょう。また、「藻川」だと”Mo River”あるいは”Mogawa River”となります。この場合、”O River”や”Mo River”というのは、なかなか何を指しているのか分かりづらいという印象があります。
川の英語の命名規則について国によって明確なルール等が定められているのかは定かではありませんが、国土交通省地方運輸局のウェブサイトに「多言語案内表示ガイドライン」という資料を見つけました。本資料によると、河川の名前については以下の記述がありました。
~川は固有名詞に「River」を付記するが、「-gawa」までを固有名詞として扱い『-(ハイフン)』で結ぶ。例)富良野川=Furano-gawa River
その他、橋については
橋は固有名詞に「Bridge」を付記するが「-hashi、-bashi」までを固有名詞として扱い『-(ハイフン)』で結ぶ。例)旭橋=Asahi-bashi Bridge例)鹿越大橋=Shikagoe-ohashi Bridge
であったり、
「温泉」については
~温泉は「Onsen」までを固有名詞として扱い、(Hot Springs)を付記する。例)ウトロ温泉=Utoro Onsen (Hot Springs)例)白金温泉=Shirogane Onsen (Hot Springs)
といった形で、細かくガイドラインが定められています。興味のある方はぜひ一度ご覧ください。
ちなみに、早くも今回の騒動に乗っかりこんなものも出てきているようです・・・
★他の英語関連情報も見てみる(人気ブログランキング)「堺筋」→「サカイマッスル」と誤訳
(大阪メトロの公式サイトの外国語ページ)堺筋線めっちゃ使うので笑いました?
そして、絶対Tシャツになるだろうな〜
と思ってたら、やはり…!!
光の速さで登場しましたっ??!!https://t.co/BY8P271D40#サカイマッスル #大阪メトロ pic.twitter.com/W0il0nFb90— Tシャツトリニティ (@tshirtstrinity) 2019年3月20日