TOEICのスコアは転職活動の成否、また、実際に就職してからも昇進や昇格に影響を与えるケースが少なくないと言われています。
実際のところ、TOEICで高いスコアを持っていることは転職活動をする上で有利になるのでしょうか?また、TOEICは転職活動を成功させる上で何点必要なのでしょうか?
「上場企業における英語活用実態調査 2013年」報告書から見るTOEICの有効性
IIBC(国際ビジネスコミュニケーション協会)は、国内の上場企業における英語活用の実態調査を行い、その調査結果を公表しています。この調査結果のポイントから企業が志願者に求めるTOEICのスコア等について考えていきましょう。
データ出典:「上場企業における英語活用実態調査 2013年」報告書
ポイント1:業務での英語の使用機会がある企業割合:75%
「業務での英語の使用」に関するアンケートでは、45.7%が「英語を使用する部署・部門がある」、29.3%が「特定部署・部門はないが英語を使用することがある」と回答しています。このことから、企業において英語を使用する機会は多く、ビジネスレベルで英語を使える人材は企業に歓迎される傾向にあると言ってよさそうです。
ポイント2:海外勤務が可能な人材・グローバル人材育成の推進:50%以上
企業の海外進出やグローバルビジネスの拡大に向けて、回答した企業のうち、50%以上の企業がグローバル人材の育成に注力しています。「海外マーケットへ進出する上での人材戦略」に関するアンケートでは、52.2%が「海外で勤務できる人材の育成を推進する」と回答しており、「グローバル人材育成のための取り組み」では、53.1%が「グローバル人材育成のための取り組みがある」と回答しています。このことから、海外マーケットでのビジネスを推進する企業においてはグローバル人材の育成が積極的に行われており、ビジネスレベルで英語を使える人材は、企業に歓迎される傾向にあると言ってよさそうです。
なお、「海外マーケットへ進出する上での人材戦略」に関するアンケートでは、19.7%が「本社で国籍問わず優秀な人材を採用する」と回答しており、新卒採用から育てる文化の根付いている日本企業の中でも、グローバル人材の採用意欲はあると考えてよさそうです。
ポイント3:グローバル人材育成のための英語研修の実施率:78.5%
企業においてグローバル人材を育成するための取り組みとして、トップに上げられているものが「英語研修の実施」であり、全体の78.5%が実施していることになります。英語研修の実施は企業にとっては大きなコストとなり、既に英語ができる人を採用することは人材育成費用の圧縮にもつながることであり、育成コストの削減の観点からもビジネスレベルで英語を使える人材は、中途採用市場においても企業に歓迎される傾向にあると言ってよさそうです。
「グローバル人材」に求められるTOEICのスコア
ここまで、企業においてはグローバル人材の育成や採用が積極的に行われており、ビジネスレベルで英語を使える人材は、中途採用市場においても企業に歓迎される傾向にあるということを見てきました。それでは、一体企業はどれくらいのスコアを求めているのでしょうか?
中途採用社員に求めるスコア:710点以上・・・だが
調査報告書の中には「7割の企業が採用時にTOEICスコアを参考にする」との結果が記載されています。その中に中途採用社員に求めるTOEICスコアに関する記述があります。
中途採用社員に求めるTOEICスコア
660点(2011年時点)
710点(2013年時点)
このように、中途採用社員に求めるTOEICスコアは年々上昇傾向にあり、ビジネスで英語が活用できることをアピールするには、700点前後では弱いということがわかります。
国際部門で働く社員に求めるスコア:750点以上・・・だが
グローバル化に伴う業務遂行に必要なTOEICスコアとして、国際部門で働く社員に求めるTOEICスコアの平均は750点という調査結果が出ています。しかし、800~895点を期待すると回答した企業が26.6%、900点~990点を期待すると回答した企業が11.1%と回答しているように、国際部門で働く社員に対しては非常に高いスコアを求めているというのが実情です。
履歴書に書ける点数、書けない点数
ここまで企業が社員に求める(あるいは期待する)TOEICスコアについて見てきましたが、英語力を期待して採用(中途採用)する場合には、社内からの異動や昇進というケースよりも、求めるスコアは高くなりがちです。それは、社内の人材であれば本人の希望や適性に応じて、育成という観点からも業務を経験させるということもあり得ますが、中途採用の場合には基本的には即戦力としての活躍が求められるからです。
それでは、一体どれくらいの点数を獲得したら履歴書に書くべきで、企業に対するアピールになるのでしょうか。もちろん企業や、その履歴書を見る人事の担当者によって考えは異なるとは思いますが、以下の基準を目安にするとよいと思います。
・730点未満:書くべきでない(但し、「TOEIC 600点以上」等と条件が明示されている場合を除く)
・730点以上、860点未満:書いてもいい、但し英語力の高さをアピールするには弱い
・860点以上:書くべき、企業によっては英語力の高さをアピールできる
まず、TOEICのスコアと英語力の高さには相関関係があることは一般的に認められていますが、700点程度ではビジネスレベルで英語でのコミュニケーションは難しいという実態は、ほとんどの企業が認識しています。従って、残念ながら730点未満の場合には履歴書に書いても英語力の高さのアピールにはなりません。但し、「TOEIC 600点以上」といった明記がある企業に対しては、その企業が定める基準をクリアしていることの証明として記載すべきでしょう。
730点以上860点未満のスコアの場合には、履歴書に記載できる水準にあると言えるでしょう。ただし、英語力の高さをアピールする武器としては、力不足な部分もあり、特に「英語力を求めるポジション」となれば、900点台といった高いスコアをもった志願者が多く応募していることも考えられるため、TOEICのスコアを差別化のポイントとすることは難しいでしょう。
860点以上のスコアの場合には、履歴書に記載をして英語力の高さをアピールしましょう。通訳業や翻訳業といった、英語そのものを仕事としていくような業務であっても、英語力の高さをアピールするには十分といえるでしょう。しかし、外資系企業や大手総合商社等ではTOEICのスコアが高い志願者は非常に多いので、例え900点台のスコアがあってもスコアそのものを差別化のポイントとしていくことは難しいと考えられます。特に外資系企業では、英語での面接が行われるケースもあり、そういった場合には面接における英語でのコミュニケーション能力やその内容が重視されますので、TOEICのスコアは合否には影響しないでしょう。
まとめ
転職活動におけるTOEICスコアの位置づけはあくまで志願者の評価の一側面にすぎず、より重要視されるのは面接を通じたその人の能力や個性、経験といった部分です。特に、新卒採用と違って中途採用で求められる観点は「即戦力」という観点であり、その企業が求める人材と応募者の経験やその経験に基づく「できること」が合致することが重要となります。「やりたい」という熱意だけでは採用はされず「できる」という証拠を資格や経験をもとにアピールしていくことが、転職活動の成功には必要となります。
とはいえ、TOEICで高スコアを持っていることは間違いなく一つの武器にはなりますので、自分自身の武器を増やしてくという観点で高スコア獲得に向けて英語学習をがんばりましょう!
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