英検1級を受験された方はわかると思いますが「1級の会場なのに、引率の保護者と一緒に来ている小中学生がいる!」と驚かれるケースがあります。
彼らの中には日本で英語の英才教育を受けた人、あるいは若くして英語オタクとなりひたすら英語の勉強をして力試しで受けているという人もいるかと思いますが、大半は英語圏の国からの帰国子女であったり、あるいは日本のインターナショナルスクールに通っている、いわゆるネイティブと同等の英語力を持つ人達です。しかしながら、そんな彼らであっても英検1級には容易に合格することはできません。それは一体なぜなのでしょうか。
1 語彙力の問題
英検1級の一次試験では、25問の語彙/熟語問題(短文の語句空所補充問題)が出題されます。英検1級のリーディングパートは41問であり、その問題数の多さが目立ちます。
英検1級で出題される語彙の問題は非常にレベルが高く、英字新聞や英語の雑誌などを読んでいても滅多に目にしないような単語も出題されます。もちろんこの語彙/熟語問題で全問正解をする必要などないのですが、そもそもの語彙力に乏しい小中学生にとっては、英語圏で育ったとしても「見たことも聞いたこともない単語」が多数出題されるという状況になってしまいます。日本の小学生が、大学受験レベルの漢字の読み書き問題ができないというのと同様に、ハイレベルな英語の語彙を身につけていない小中学生がこのパートで高得点を獲得するのが難しいというのが、帰国子女でも英検1級に不合格になる理由のひとつです。
2 作文力の問題
英検1級では、英作文(ショートエッセー)が出題されます。
英検1級で出題される英作文のテーマは、教育、テクノロジー、医学、経済、環境問題など、多岐に渡ります。もちろんそれぞれの分野での専門家レベルでの前提知識は要求されませんが、ひとつのテーマに対して複数の側面から自分の主張を裏付けていくような文章の展開が必要となります。
英語によるコミュニケーションそのものに問題がなかったとしても、小中学生の場合、幅広い社会問題に対して、自分の意見を裏付けることができるだけの知識や経験が乏しかったり、また、しっかりと論理立った文章の構成で自分の考えを展開していくことは難しかったりするケースが少なくないです。論理的に文章を展開させることができなくては高得点を獲得することが難しい英検1級の英作文ですので、小中学生にとってはこのパートで高得点を獲得することができないケースが多いです。
3 面接力の問題
一次試験を突破してしまえば、口頭での英語によるコミュニケーションに長けている帰国子女の人たちにとって、英語による面接試験は難しいものではありません。しかし、英検においてはそれは準1級までの話です。1級の面接では、一次試験の英作文同様に、自分の意見を様々な観点から根拠を明確にしつつ主張をしていくということが求められます。
例えば、2015年第1回のトピックの一つに”Is capitalism the only realistic economic system in a globalized world?”(資本主義は国際化社会における唯一の現実的な経済システムか?)というトピックがありました。このトピックに対して、「資本主義・社会主義・共産主義の違い」といった観点や、「資本主義社会における成果と課題」といった意見を主張しつつ、論理展開をすることができる小中学生がどれだけいるでしょうか。もちろん選ぶトピックによっては小中学生レベルの知識や経験でも十分に自分の主張を裏付けるだけのスピーチを展開していくことも不可能ではありませんが、「二次試験はテーマが難しすぎて歯が立たない」という小中学生の受験者は少なくないです。
※以下に過去に英検1級の二次試験に出題されたトピックの例を掲載していますので、自分の主張を考え、それを裏付ける理由を考えだすことができるかどうか試してみてください。自分の主張を裏付ける理由や具体例が複数思いつくようであれば問題ないですが、何も思いつかないようであれば英検1級の面接を突破するのには対策が必要だと思われます。
このように、英検1級は英語の試験でありながら、単に「英語が喋れる、英語がわかる」というだけで合格できる試験ではありません。「英語で自分の意見が論理的に主張できる」「相手の質問に対して質問の意図を理解し、相手を納得させるだけの根拠に基づき英語で返答できる」というレベルまでが求められる試験です。大人の受験生の皆様もそれだけ高いレベルの試験なのだということを意識して試験に臨み、合格を勝ち取りましょう。
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