IIBC (一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会)は2015年11月5日に、第210回公開テスト(2016年5月29日実施)よりTOEICテストの出題形式が一部変更される旨発表しました。
これまで様々な噂が飛び交った新TOEIC(新新TOEICと呼ばれることもあるようです)について、これまでのTOEICテストとどういった点が変更になるか見てみましょう。
新形式問題導入の背景
IIBCは「よりオーセンティック(実際的)なコミュニケーション」に即した出題とするため、TOEICテストの出題形式を一部変更するとしています。
個人的にはAuthenticなCommunicationとはなんなのか・・・という点にはやや引っ掛かりがあります(これまでのテストは実際的ではなかったのか?Authentic(本物の、真性の)というよりPractical(実践的)のほうがしっくりくるのではないか?などなど)が、要するにテストのためのテストではなく、より実際の場で使える英語コミュニケーション能力を測定できるテストに見直した、ということのようです。
出題方式の変更点
新形式TOEICはリスニングセクション・リーディングセクションともに出題方式が一部変更されます。変更点は以下の通りです。
<リスニングセクションの変更点>
- 写真描写問題(Part 1)の設問数が減る。(10問→6問)
- 応答問題(Part 2)の設問数が減る。(30問→25問)
- 会話問題(Part 3)の設問数が増える。(30問→39問)
- 会話問題の中に、発言が短くやり取りの多いものが加わる。3名で会話する設問が加わる。
- Elisions(省略形:going toが gonnaなど)、Fragments(文の一部分:Yes, in a minute; Down the hall; Could you?など)を含む会話が流れる。
- 会話やトークの中で聞いたことと、問題用紙に印刷された図などで見た情報を関連づけて解答する設問が加わる。
- 会話やトークの中で話し手が暗示している意図を問う設問が加わる。
<リーディングセクションの変更点>
- 短文穴埋め問題(Part 5)の設問数が減る。(40問→30問)
- 長文穴埋め問題(Part 6)の一つの文章に含まれる設問は3問から4問に増える。
- 文書の全体的な構成を理解しているか問う設問が加わる。具体的には、
(1)長文穴埋め問題で、文書内の空欄に最も適切な一文を選ぶ問題
(2)読解問題(Part 7)で、文書内に新たな一文を挿入するのに最も適切な箇所を選ぶ問題 - テキストメッセージやインスタントメッセージ(チャット)、オンラインチャット形式で複数名がやり取りを行う設問が加わる。
- 読解問題で3つの関連する文書を読んで理解する設問が加わる。
- 読解問題の設問数(1つの文書、複数の文書)が増える。
- 文書中で書き手が暗示している意図を問う設問が加わる。
<これまでと変更がない点>
- 各セクションの時間と問題数は変更なし。
(リスニングセクション(約45分間・100問)・リーディングセクション(75分間・100問)) - 各セクションのスコア構成は変更なし。(リスニング5点~495点、リーディング5点~495点、トータル10点~990点のスコアで5点刻み)
- 設問は全問マークシート方式での回答。
- リスニングセクションの発音は、米国・英国・カナダ・オーストラリアの4ヶ国。
新形式導入による難易度の変化
IIBCは、新形式が導入されても試験の難易度は変わらず、過去の試験のスコアとの比較も可能としています。
時代に応じた内容にするために、TOEIC テストの一部は変更されますが、クオリティと難易度に変わりはありません。変更後のTOEIC テストを受験されても、スコアの意味は現行のTOEIC テストと同等であり、スコアの比較も可能です。
変更後のテストと現行のテストの難易度は変わりません。テストの難易度に変化が生じないよう、ETSのテスト開発の専門家により調査、検証を重ね設計されています。
ただ、これまでの形式に馴染みのある受験者にとっては出題形式が変わることによる戸惑いや、時間配分の変更の必要性などが生じる可能性も否定できず、一時的には「以前の試験より難しくなった」と感じることがあるのではないかと推測します。
なお、旧形式で行われるTOEICテストは第209回公開テスト(2016年4月10日実施、申込締切2016年3月1日15時(インターネット申込の場合))となりますので、受験予定の方は忘れずに申込をするようにしましょう。
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