英検は2016年度、2017年度に英語四技能化等の流れにより大幅にリニューアルされ、2019年度には運営費用の増加を理由とする受験料の大幅値上げが実施されました。2020年度は、試験内容にリニューアルはありませんが、2年連続で受験料の改定があります。コンピュータベースで実施されるCBTの受験料は値下げされる一方、本会場での従来型英検については昨年度に続き2年連続で大幅値上げされる形となります。
英検CBTは値下げ
英検CBTは、4技能を1日で測定しコンピュータによる受験を可能にした試験です。受験可能な級は、準1級・2級・準2級・3級に限定されています。
英検CBTはテストセンターで実施されるため、問題冊子の輸送コストや会場のスタッフ、二次試験の面接のコスト等を従来型の英検に比べて抑制することができる試験方式です。このため、試験運営側としても効率的に試験運営が可能なCBTの受験を促していきたいものと考えられます。
これまでは従来型英検と比べて受験料が割高だった(例えば英検3級では従来型では4,900円に対して、CBTでは5,800円)ため、あえてCBTを選択するメリットがなかった(二次試験までを1日で終えられるメリットはありましたが)のですが、今回の受験料の改定により、英検CBTを選択する受験者は増加するのではないかと考えられます。
各級の改定後の受験料は以下の通りです。
準1級
9,800円→7,400円(▲2,400円[▲24.5%])
2級
7,500円→6,400円(▲1,100円[▲14.7%])
準2級
6,900円→5,900円(▲1,000円[▲14.5%])
3級
5,800円→4,900円(▲900円[▲15.5%])
英検2020 1-day S-CBT、英検2020 2-days S-Interviewは値下げ
もともとは大学入試への英語民間試験の活用に関連して開発された試験ですが、大学入試への英語民間試験の活用が延期となったことにより受験する方が限られるため、影響は限定的と考えます。
英検としてはS-CBTを「受験対象者を大学や高校入試の受験者にとどまらず、生涯学習として英語学習に邁進している幼少期のお子様から年配の皆様まで幅広く活用いただける、資格検定としての位置づけも含めた網羅的な試験」としていく考えとのことですが、CBT及び従来型英検とのすみ分けは依然として不明です。
S-CBT
準1級
9,800円→7,900円(▲1,900円[▲19.4%])
2級
7,500円→6,900円(▲600円[▲8.0%])
準2級
6,900円→6,400円(▲500円[▲7.2%])
3級
5,800円→5,400円(▲400円[▲6.9%])
S-Interview
1級
16,500円→13,800円(▲2,700円[▲16.4%])
準1級
9,800円→7,900円(▲1,900円[▲19.4%])
2級
7,500円→6,900円(▲600円[▲8.0%])
準2級
6,900円→6,400円(▲500円[▲7.2%])
3級
5,800円→5,400円(▲400円[▲6.9%])
従来型英検(本会場)は値上げ
2019年度にも受験料が値上げされた従来型英検(本会場)は、2年連続で受験料が値上げとなります。2018年度と比べると英検3級の値上げ率は最も大きく、3,800円→4,900円→5,900円と、2年間で2,100円の値上げ(55%の値上げ)となっています。
英検はこの度重なる値上げについて、「受験者増加にともない会場確保や実施監督者等の確保が年々ひっ迫しており、会場費や人件費、育成費用といった実施関連費用が増加している状況にあります。また情報管理等に対応し得る実施運営、及び物流の品質強化等のセキュリティ関連費用についても増加が見込まれるなか、かかる費用を勘案し、決定いたしました」としています。
度重なる受験料の値上げでこれまで以上に英検が「気軽に受験できる英語試験」でなくなってしまうことは残念ですが、従来型英検の値上げには、より効率的に試験運営ができるCBTへの移行を促す目的もあると考えられます。
1級
9,500円→10,300円(+800円[+8.4%])
準1級
7,600円→8,400円(+800円[+10.5%])
2級
6,500円→7,400円(+900円[+13.8%])
準2級
5,900円→6,900円(+1,000円[+16.9%])
3級
4,900円→5,900円(+1,000円[+20.4%])
4級
3,600円→3,600円(変更なし)
5級
3,000円→3,000円(変更なし)
従来型英検(準会場)は変更なし
従来型英検(準会場)については変更ありません。
英語に関する日頃の学習成果を把握し、一つの目標とすることもできる英検が度重なる値上げによって気軽に受験しづらくなるというのは非常に残念でなりません。しかし英検の運営側の立場に立って考えてみると、大学入試における外部試験の扱いで振り回された結果として多額のコスト負担を強いられ、いずれかの形で回収しなくてはならないという事情もあるでしょう。
国が方針を二転三転させた結果、英検をはじめとする英語関連試験を運営する団体が振り回されたことは事実であり、その責任は国にあると言えるでしょう。そして、そこでかかってしまったコストについては最終的には受験者側に転嫁されます。
検定料が値上げされたことに対して受験にかかる費用を抑えるために最も重要なことは「受験料を複数回支払わなくて済むように、しっかり準備をして試験に臨むことで一発合格する」ということでしょう。英検の通信講座等も活用し事前の準備をしっかりと行うことで、一発合格を目指してがんばりましょう!(英検の級ごとの合格率については英検の合格率をご参照ください)
参考リンク:実用英語技能検定 2020年度実施 検定料改定のお知らせ
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