旺文社教育情報センターが2019年1月7日にリリースした情報(今月の視点-145 【推薦・AO編】英語外部検定は今年も利用拡大)によると、2019年度の日本国内大学の推薦・AO入試への英語外部検定(外検)の利用率は45.8%と、大学各校での英語外部検定の利用が拡大しているようです。一般入試であれば受験科目に英語が入っていてその得点そのものが合否に利用される・・・といった形が通常ですが、推薦入試の場合はそもそも一定の級やスコアを持っていることが出願資格となっていたり、あるいは保有している級やスコアによって加点や合否判定で優遇されるといった形で使われているようです。
どれくらいの大学で英語外部検定は利用されているのか
レポートによると、2019年度の日本国内大学の推薦・AO入試への英語外部検定の利用率は全体で45.8%で、2016年の調査以来4年連続の増加となっているとのことです。以下、設置者別の外検の利用率データです。国立大学が最も高く、次いで私立大学、そして公立大学での利用率が最も低くなっています。
▼設置者別の外検利用状況(対象入試:2019 年度入試の推薦・AO)
国立大学 : 41 大学 (全国立大学 82 大学のうち)/ 利用率 50.0%
公立大学 : 25 大学 (全公立大学 90 大学のうち)/ 利用率 27.8%
私立大学 : 286 大学(全私立大学 587 大学のうち)/ 利用率 48.7%
全体 : 352 大学 (全国 768 大学のうち)/ 利用率 45.8%
どの試験が採用されているのか
試験の採用率としては英検がの採用率が最も高く(98.6%)、次いでTOEIC(84.1%)、TOEFL(74.4%)となっています。やはり、高校教育・大学入試における英検の存在感は圧倒的です。GTECはあまり馴染みのない方も少なくないと思いますが、ベネッセコーポレーションが実施している英語4技能検定です。
2019 年度入試の推薦・AO における外検の採用率
英検:98.6%
TOEIC:84.1%
TOEFL:74.4%
GTEC:64.2%
GTEC CBT:56.5%
IELTS:53.4%
TEAP:45.2%
ケンブリッジ英検:32.0%
TEAP CBT:28.1%
どのレベルが求められているのか
推薦・AO における外検の利用方法としては出願資格の条件としているケースが多く(公募推薦で47.3%、AO入試で59.5%)、通常の学力試験を行わない推薦入試において学力を担保する目的での利用が多いようです。英語外部試験は受験における一般入試と異なり一発勝負ではありません。したがって、一発勝負の本番でなかなか実力を発揮するのが苦手・・・という方でも、しっかり対策をして複数回チャレンジすることができる外検を利用することでより実力を発揮できる方もいるかもしれません。
外検で求められるレベルは、CEFRでA2 が約42%、B1 が約40%と、全般的には突出して高い英語力を求められているわけではありません。上記の通り、学力を担保するための出願資格として設定している学校が多いということを考えれば妥当なところと言えるでしょう。しかしながら、0.4%の大学ではCEFRでC1レベルを要求する等、突出した英語能力を持つ学生を入学させたいといった明確な意思を持っている大学もあります。また、スコアや保有級による加点や判定優遇、得点換算を行う大学も存在しており、高い級/スコアを獲得することでより有利に自分をPRすることが可能であることは言うまでもありません。
外検を利用する推薦・AO で求められる英語レベル(CEFR 換算)
A1:6.1%
A2:42.0%
B1:39.8%
B2:11.7%
C1:0.4%
2020年には現行の大学入試センター試験が廃止となり、受験英語においても「読む」「聞く」に加え「話す」「書く」を合わせた 4 技能を評価対象とする英語外部検定の利用が推し進められている中で、外部試験の活用はますます加速していくことが予想されます。受験対策の英語においても、外部試験でより高い級・高いスコアを獲得していくことは受験を有利に進めていく上で重要になっていきそうです。
関連リンク:旺文社 教育情報センター
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